【書評】貞観政要に学ぶ上に立つ者の心得(著)谷沢栄一・渡部昇一

スポンサーリンク

経営者、そして学校の先生や塾の先生にも読んでほしい本の1冊です。大御所のお2人である、文学博士の谷沢栄一先生と上智大学名誉教授の渡部昇一先生の対談形式で進められています。

貞観政要

この本では、貞観政要(じょうがんせいよう)を世界最高書として取り上げられています。この貞観政要は、儒学のエッセンスを実践的にしたもので。「皇帝・帝王とはどうあるべきか」「政治とはどうするべきか」というのが極めて具体的に書かれている書です。対談の中の1つ興味深かったのは、貞観政要を読んだ北条幕府や徳川幕府は、十数代にも政権が続いたのに対して、織田信長や豊臣秀吉は読んでいなかったから、時代が短かったというもの。

参考貞観政要 唐の太宗(唐朝の第二代皇帝)と側近との対話をまとめた本。

スポンサーリンク

谷沢先生と渡部先生の共通認識

論語・孟子は名著だけれども、抽象的に対して、貞観政要は、具体的に「何をどうするか」ということについて書かれている。リーダーとはどうあるべきか。ということが具体的に書かれており、深く心に刻まれる瞬間が少なくありません。

太宗の言葉

  1. 「君主は船、民は水」水は船を浮かべることも転覆させることもできる。
  2. 「臣をして、良臣と為らしめよ。臣をして忠臣と為らしむこと勿れ。」これは、深いですね。良い人と忠誠な人とどちらがいいかということなのですが、良い人であると言われた方がいいということです。具体例を交えて描かれています。
  3. 「国を治めると病を養うと異なること無きなり」国を治めるのと、病気を治すのと同じ。つまり、病気は治り際が大切なので、国もよくなってきたときが肝心
  4. 「野に遺賢なし」人材不足を嘆くのは、「人探しの能力がない」と言うに等しい
  5. 「賞罰は、国家にとって最大の重要事項」、獲物を取るときに、ウサギを追いかける犬と犬を使う人間のどちらが重要か。こういう観点での勲功の評価を下すことの大切さ。
  6. 「人、自ら照らさんと欲すれば、必ず明鏡を須う。主、過ちを知らんと欲すれば、必ず忠臣による。」自分がどういう人間であるか見ようと思ったら、鏡を用いる。君主が自分の過失を知ろうと思えば必ず忠義な家来が必要だ。

この本を通して思うこと

組織のリーダーがすごいとか、尊敬されているようではまだまだということです。例えば、側近がリーダー以上に人格者であるとか、メンバーがリーダーより優れているとう組織を作っていくとか、そういう力量が要りそうです。リーダーが自ら、「メンバーのおかげです。」と言うより、第3者から「あそこは、リーダーより、そこにいるメンバーが素晴らしいからすごい。」という感じでしょうか。

また、江戸時代がよかったという風潮に、別の見方を与えてくれます。たとえば、極端な身分制度で社会を固めなければ平和を保てなかったという面もあります。たとえば、江戸時代の鎖国がなかったら、先の戦争もしなくてよかったでしょうし、日本の国土はもっと広かったでしょうということです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク